【小児科】小児の熱性けいれん
インフルエンザが流行中です。お子様も大人の方もこの時期は手洗い、うがい、マスク着用などで感染防御をいつも以上にしっかりしてくださいね。
今回は、インフルエンザ流行時期に小児科では多くなる、「けいれん」の中でも特に「熱性けいれん」に関してお話をしていきたいと思います。
熱性けいれん
定義
「主に生後6ヶ月から5歳までの、38℃以上の発熱時に起こる発作(けいれん惹きつけ)で、髄膜炎など明らかな発作の原因が見られないもの」とされています。
発症率・再発率
欧米人と比較して日本人には多く、7〜11%のお子さんに起こり、そのうちの約30%の方が再発すると言われていますが、下記の再発予測因子が全て当てはまらない場合の再発率は約15%です。
- 両親いずれかの熱性けいれん家族歴
- 1歳未満の発症
- 短時間の発熱-発作間隔(概ね1時間以内)
- 発作時体温39℃以下
熱性けいれんの種類
熱性けいれんは単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれんに分けられます。
以下の3つの項目のうち一つでも当てはまる場合は複雑型熱性けいれん、いずれも当てはまらないものを単純型熱性けいれんと言います。
- 部分発作(体の一部分だけのけいれんや、左右非対称のけいれん)
- 15分以上持続する発作
- 24時間以内に複数回繰り返す発
けいれんが起きてしまったら!
- まず、あわてない!落ち着きましょう。多くの熱性けいれんは5分以内におさまります。
- お子さんの口の中に手やハンカチなどは入れないでください(窒息や、手の怪我の原因になります)。
- 横向きに寝かせて、痙攣の持続時間を時計ではかって、どのようなけいれん(体全体なのか、一部分なのか、左右対称性なのか、非対称か)なのか観察してください(もし余裕があれば、スマートフォンなどで動画を撮っても良いでしょう)。
- 5分以上けいれんが持続する場合は救急車!119番に電話しましょう。
- けいれんが5分以内におさまった後は、意識が戻るまでどのくらいの時間がかかるか確認してください。
- 初めてのけいれんの場合は、5分以内にけいれんが止まっても、自家用車で良いので医療機関への受診をお勧めします。
熱性けいれんを起こしたことがある児の解熱剤使用
熱性けいれんを起こしたことがあるお子さんも、発熱時に解熱剤を使用して良いです。
しかし、解熱剤を使用することで、けいれんを予防することはできません。あくまでも、お子さんが熱で辛そうであれば解熱剤を使用してください。
熱性けいれんの再発予防
熱性けいれんを起こしてしまったお子さんのうち、状況によっては、発熱時(37.5℃以上の時)にダイアップ®︎というけいれん予防の座薬を使用することをすすめる事があります。一般的には、
1) 15分以上持続する発作 もしくは、
2) ⅰ.部分発作または24時間以内に繰り返す
ⅱ.熱性けいれん出現前よりある神経学的な異常や、発達の遅れ
ⅲ.熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
ⅳ.12ヶ月未満での発症
ⅴ.発熱後1時間未満での発作
ⅵ.38℃未満での発作
のⅰ〜ⅵのうち2つ以上を満たす熱性けいれんが2回以上繰り返す場合には予防投与を推奨されています。
予防投与を開始した場合は、最終発作から1〜2年間、4〜5歳くらいまで使用することが多いです。
なお、ダイアップはふらつきや、眠気が出てボーッとする副作用が出ることがあるので、注意が必要です。