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ヒスタミンと仮性アレルゲンについて

花粉症や食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息などアレルギーで悩まされている日本人は年々増加傾向にあります。実際に特定のアレルギーを持っている人だけでなく、アレルギーを持っていない人がアレルギーのような症状を引き起こすことも増えています。アレルギーと関係が深い「ヒスタミン」と「仮性アレルゲン」について説明します。

1・アレルギーはなぜ起こる?

アレルギー反応は、アレルゲンとなる花粉や食物などに含まれる化学物質に対して、体が過剰に反応することで起こります。本来、人間の体はウィルスや細菌など体に悪影響を与える物質が体内に侵入すると、それらをやっつけようとする働きがあります。これが「免疫」といわれる働きです。ところが、免疫のエラーが起こると花粉やハウスダスト、動物の毛、食物などアレルゲンとなる物質「抗原」を悪者と判断し、排除しようとします。そしてくしゃみや大量の鼻水、目のかゆみなど様々なアレルギー症状を起こすのです。

2・ヒスタミンとは

アレルギーが起こる仕組みで重要な役目を果たすのが「IgE抗体」です。IgE抗体とは、免疫グロブロンE(ImmunoglobulinE)というアレルギーを引き起こす免疫グロブリンの一種です。IgE抗体は皮膚や粘膜、肺、消化管など広い範囲に存在する肥満細胞あるいはマスト細胞とも呼ばれる細胞にアンテナを張るように存在します。最初はアンテナが立っているだけの状態ですので、アレルギー反応は起こしません。ところが何度も同じ物質がアンテナにキャッチされると(この状態を感作と呼びます)次第にIgE抗体は「こいつは今度入ってきたらやっつけるぞ」とスタンバイ状態になるのです。そして再び抗体が入ってくるとIgE抗体が対戦モードになり、敵が来たぞ!と肥満細胞や好塩基球に伝達し、そこから化学伝達物質を放出するのです。この化学伝達物質の代表的なものがヒスタミンなのです。アレルギーを引き起こす化学伝達物質はヒスタミンのほかにもセロトニン、ロイコトリエンなどがあります。
ヒスタミンとは、たんぱく質を構成するアミノ酸の中でも、人や動物が体内で作り出すことができない9種類の必須アミノ酸の「ヒスチジン」から合成される物質です。ヒスチジンはマグロ、サバ、イワシ、カツオ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身の魚に多く含まれており、その魚から発生する微生物とヒスチジンが合成されるとヒスタミンが生成されるのです。ヒスタミンが大量に作られると、ヒスタミン1型受容体と結合し、蕁麻疹などのアレルギー症状を引き起こします。これらの魚を食することで起こる食中毒はヒスタミン食中毒とも呼ばれ、加工法や保存法に問題がありヒスタミンが大量に発生してしまうために起こるものです。
ヒスタミンは蕁麻疹だけでなく、アレルギー症状の代表的な鼻水、くしゃみ、目のかゆみなど辛いアレルギー症状を引き起こすので、抗ヒスタミン薬が使われます。第一世代の抗ヒスタミン薬は眠気が強く出るという副作用がありましたが、その後第二世代抗ヒスタミン薬が開発され、副作用も少なくなり、より効果が高いものになっています。

3・仮性アレルゲンとは

通常アレルギーとは、体が特定の抗原に反応して免疫作用によってアレルギー症状を引き起こします。ところが仮性アレルゲンとは、その時に食べたものに含まれるヒスタミンなどの化学物質がダイレクトに体に作用し、アレルギーのような反応を起こすことです。
仮性アレルゲンを含む食物は多種に渡ります。ヒスタミンと関連する食物には赤身魚、青魚、トマト、ほうれん草など。アセチルコリンに関連する食物はたけのこ、そば、ピーナッツ、ヤマイモ、サツマイモなど。セロトニンに関連する食物はトマト、キウイ、アボカド、バナナ、メロン、パイナップルなど。ほかにもチラミン、イノリンなど化学伝達物質はいくつもあり、それらの物質と関連する食物もたくさんあるのです。
これらの食べ物を食べたからといって毎回仮性アレルゲンを引き起こす訳ではありません。調理法や頻度、体調などによって誰しも引き起こされる可能性があるということです。

4・アレルギー症状かな?と思ったら

仮性アレルゲンの特徴的な症状は蕁麻疹や口、体のかゆみです。一度でも仮性アレルゲンを疑った場合にはアレルギー専門医への受診をおすすめします。仮性アレルゲンか、食物アレルゲンかの判断はアレルギー検査で調べることができます。それぞれ治療法や対策法が異なってくるので、個人的な判断で市販薬を服用するなどの対処は危険です。
また、食事をした後に蕁麻疹やアレルギー症状のほかに腹痛や嘔吐、発熱、意識混濁などを伴った場合には食中毒の可能性もあるので、すぐに救急車の手配や救急外来への受診をしましょう。

当院ではアレルギー専門医、呼吸器専門医、内科専門医、小児科専門医が在籍しておりますので、適切で迅速な検査、治療を行うことが可能です。少しでも気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

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