百日咳について
子どもの長引く咳 〜百日咳に注意!4種混合ワクチン打っていますか?~
ここ数週間で東京都内での百日咳の発生が増加傾向です!(※2018年7月現在)
(東京都感染情報センター)
百日咳とは?
読んで字の如く、長く咳が続く感染症です。
1歳以下の乳児、特に6ヶ月未満が罹患すると重篤な呼吸器症状やけいれんなどを引き起こす事があります。
一方で年長児から成人が百日咳を発症すると、典型的な百日咳の症状を示さないまま乳児への感染源となります。
4種混合ワクチン接種は生後3ヶ月以降からの接種になるため、特に新生児がいるご家庭では年長児の兄弟姉妹やご両親、ご親戚など周囲の方からの感染を防ぐことが非常に重要です。
原因菌
百日咳菌 (Bordetella pertussis)
感染経路
飛沫感染(患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌によって感染)
潜伏期間
7〜10日程度
症状
- 咳や鼻汁など風邪症状から始まるが2週間以上咳が続く
- 次第に百日咳特有の咳が出始める
- 顔を真っ赤にしてコンコンと激しく発作性に咳き込む(スタッカート)
- ヒューと音を立てて息を吸う発作(ウープ)
- 咳こみによる嘔吐
- 生後3ヶ月未満で感染すると、上記の特有な咳は少なく、無呼吸やけいれんを起こす事がある
診断方法
- 特徴的な2週間以上続く咳
- 血液検査
- 鼻汁などでの培養検査
治療
マクロライド系の抗菌薬
予防
生後3ヶ月からの4種混合ワクチン
出席停止基準
特有の咳が消失するまで又は5日間の抗生剤治療を終了するまで
発生動向
2018年の東京都の感染症発生動向調査によると、5歳〜19歳が最も多く、続いてのピークが20代から40代となっています。
特に家族や周囲に4種混合ワクチンを打つ前の3ヶ月未満の赤ちゃんいる場合、ただの長引く咳だと思ったら、まだ抗体のない赤ちゃんに百日咳をうつしてしまい、重症化し、入院となってしまう場合もあります!
ご案内
咳が長引く場合には放っておかず、ご相談くださいね。
そして、何より、赤ちゃんは3ヶ月になったら4種混合ワクチンを忘れずに!!!!
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小学校入学前の3種混合、不活化ポリオワクチンの追加接種について(2018年8月9日追記)
先日、百日咳の流行について、小児科ブログに書きましたが、日本小児科学会からも、2018年8月1日に予防接種スケジュール変更点として記載されました。
今回の変更点としては、大きく2点、
- 学童期以降の百日咳とポリオに対する免疫を維持するために、就学前の3種混合・不活化ポリオの追加接種についての推奨(任意接種)を加えたこと
- 11歳から12歳での接種の2種混合ワクチンの代わりに、3種混合ワクチンでも追加接種ができる(ただし任意接種)こと
2018年8月現在の日本での予防接種スケジュールでは、ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオの4種混合 (DPT-IPV)ワクチンを、生後3ヶ月から3~8週あけて3回接種し、追加接種として3回目接種終了後6ヶ月以上あけ、標準的には12〜18ヶ月の間での接種が推奨されています。そして、ジフテリア・破傷風の2種混合 (DT)ワクチンは11歳から12歳の間での接種となります。
しかし、百日咳もポリオもワクチン接種後、徐々に抗体価は減少していきます。
また、これらは予防接種により予防可能な疾患です。
百日咳について
1歳以下の乳児、特に6ヶ月未満が罹患すると重篤な呼吸器症状やけいれんなどを引き起こす事があります。
一方で年長児から成人が百日咳を発症すると、典型的な百日咳の症状を示さないまま乳児への感染源となります。
4種混合ワクチン接種は生後3ヶ月以降からの接種になるため、特に新生児がいるご家庭では年長児の兄弟姉妹やご両親、ご親戚など周囲の方からの感染を防ぐことが非常に重要です。
ポリオ(急性灰白髄炎)について
ポリオは感染しても90~95%は全く無症状ですが、ポリオウイルスの中枢神経感染により感染者の0.1〜2%に四肢の急性弛緩性麻痺を典型的な症状とする麻痺型ポリオを発病します。かつては小児に多発したところから小児麻痺ともよばれていました
麻痺型ポリオを発症しても多くは完全に回復しますが、場合によっては永続的な後遺症を残す可能性があり、呼吸筋麻痺により死亡する事もあります。
日本におけるポリオ流行に関しては、昭和55年を最後に、野生株ポリオウイルスは検出されていません。
しかし、厚生労働省はパキスタン、アフガニスタン、シリア、コンゴ民主共和国、ナイジェリアのポリオ発生国へ渡航する場合にはポリオの追加予防接種を検討するよう促しています(厚生労働省検疫所)。
訪日外国人が年々増えている事を考慮すると、抗体価が減少する就学前のポリオの追加接種が推奨されます。
現時点では、追加接種や2種混合の代わりに3種混合ワクチンを接種する場合には任意接種となり自費になりますが、予防可能な疾患を予防するという観点では、追加接種していただくメリットは非常に大きいです。
当院はじめての方へ
当院には、小児科専門医、アレルギー専門医、呼吸器専門医、総合内科専門医、が在籍しています。
小児から大人への一貫したアレルギー診療が可能です。
高い専門性を有しながらも一般的な内科・小児科の診療も可能です。
在籍医師は育児中の女性医師です。ワクチン接種時や乳幼児健診や診察時など育児に関することもお気軽にご相談ください。
当院の受診方法は?
風邪をひいた、せきが長引く、便秘、肌がかさかさする、発熱、風邪(かぜ)、咳(せき)、鼻水・鼻づまり、のどの痛み、下痢・嘔吐、腹痛、頭痛、中耳炎、ひきつけ(けいれん)などの症状など多岐にわたる小児科一般の病気を診断・治療しています。
小児予防接種、乳幼児健診、お子様の諸症状でご心配の場合には、小児科専門医・アレルギー専門医・呼吸器専門医・総合内科専門医が在籍する当院へ気軽にご相談ください。
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