COPD(慢性閉塞性肺疾患)について
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは
昨今テレビコマーシャルや病院や薬局のポスターなどで目にすることも増えて「COPD」という言葉をご存知の方も多くなってきました。詳しくはわからなくても、なんとなくタバコが関係している病気かな、くらいに把握している方がほとんどだと思います。「COPD」とは実際どのような病気なのでしょうか?
ここでは症状や原因など解説していきます。
喫煙歴があり今まで一度もCOPDの検査をしたことのない方や気になる方は呼吸器専門医へ受診することをおすすめします。
<目次>
1・COPDとは?
2・COPDの症状
3・COPDの原因
4・COPDの検査
5・COPDの治療法
1・COPDとは?
COPDとは慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)のことです。英語表記の頭文字から「COPD」と呼ばれています。
COPDと併存することが多いのは肺気腫です。
口や鼻から空気を吸い込むと気道を通って、肺胞と呼ばれる弾力のある薄い膜で覆われた袋状の部屋に運ばれます。長年のタバコの煙や汚染された空気を取り込むことで気管支が炎症を起こし肺胞が徐々に壊れていきます。肺胞は酸素と炭酸ガスの交換を行う器官ですので、肺胞が壊れていくと肺気腫を引き起こします。末梢の気管支が炎症をおこし、徐々に肺に溜まった空気を推し出せなくなるCOPDの状態になります。
COPDの怖いところは、急になるのではなく、徐々に進行していくため、長年の喫煙生活を送っている人は年々リスクが高まります。事実COPDの患者さんの9割が喫煙者で40歳以降の中高年に多くみられます。また、一度破壊されてしまった肺胞は元に戻ることはありません。
2020年の厚生労働省の統計によると、COPDの死亡者数はおよそ1万6千人になります。死因順位も10位になっています。COPDは検査をしなければ判明しないので、隠れCOPDの人は500万人にも及ぶと推定されており、その数は年々増加傾向にあります。
2・COPDの症状
COPDの主な症状は動作時の息切れ、痰が切れない、慢性的な咳などがあげられます。
COPDは前述したように時間をかけて悪化していくので慢性的に咳や痰が出る症状があったとしても、ご自身でCOPDかも?と思って受診される方はほぼいらっしゃいません。
COPDで受診される方の多くは健康診断での肺機能検査で問題があった方です。肺機能検査はコロナ禍では行っていないところが多いため、実際の隠れCOPD患者さんは多いと思われます。
3・COPDの原因
COPDの原因は喫煙がほとんどです。喫煙者の15%〜20%が発症していると言われています。
また、タバコ以外でも大気汚染、受動喫煙、職業上の粉塵や化学物質への暴露、遺伝的要因(α1-アンチトリプシン欠乏症など)でも引き起こすとされています。
喫煙に関しては1日にタバコを吸う本数が20本以上、喫煙年数が20年以上の人は最もリスクが高いです。またタバコの煙は主流煙よりも副流煙に多く有害物質が含まれているため、本人は吸っていなくとも受動喫煙によってもリスクが高まってしまいます。若年層でも喘息を持っている人の喫煙により発症がみられることもあります。
肺の健康年齢は加齢とともに低下していくので、現在喫煙していなくとも長年の喫煙によって肺の機能が著しく低下していて肺機能検査でCOPDに該当してしまうこともあります。
4・COPDの検査
喫煙歴があり40歳以上の方は肺機能検査を受けることをおすすめします。
肺機能検査
COPDの検査は肺機能検査を行います。
肺機能検査はスパイロメーターという測定器を使用し、息を吸って吐いて、肺がどれだけ空気を取り入れ吐き出すことができるのかを測定します。肺の容量の低下、気道が狭くなっていることで息が吐きにくくなっていないかなどがわかります。
画像検査
さらに胸部CT検査をすることで肺気腫やその他の肺の病気を確認することができます。
5・COPDの治療法
繰り返しになりますが、一度破壊された肺機能は元には戻りません。
また肺機能はどんなに健康な人であっても、加齢とともに年々落ちていくものです。
特にタバコを吸う人は落ち方が早くなります。タバコを辞めた段階で普通の落ち方をするので、タバコを吸っている人はすぐに禁煙することが大切です。
いかに危険因子となるものを遠ざけて肺の健康寿命を延ばすかが重要となりますので、禁煙以外にも、空気の悪い中で生活をしている人はマスクなどをしてできる限り吸い込まないようにするなどの対策も効果的です。
禁煙以外の治療方法としては気管支拡張薬の吸入や去痰剤を使用する薬物療法や、有酸素運動や呼吸器リハビリテーションといった運動療法もあります。
禁煙は喫煙年数が長くなればなるほど、市販のニコチンパッチを使用してやめられる人はほとんどいません。
喫煙は依存症でもあるので、生活習慣を変える、栄養バランスを考える、運動をするなど様々なアプローチが必要となります。また適切にニコチン量を徐々に減らしていく必要もあるため、禁煙外来を受診し医師の指導のもと、禁煙に取り組むことが効果的だと思います。
また、喫煙歴のない人でも40歳を超えたら定期的に肺機能検査をすることをおすすめします。
禁煙外来について
ニコチン依存症は禁煙補助薬を服用することで禁煙成功率があがります。依存症の離脱症状も軽減する効果もあります。
ぜひ禁煙外来でご相談ください。
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