小児の湿疹
乳児期の湿疹
産まれて1,2才くらいまでは、様々な顔、体の湿疹(ブツブツ)に悩まされる事が多々あります。
湿疹の種類
具体的には以下のような湿疹が挙げられます。
- 新生児ざ瘡
- 脂漏性皮膚炎
- 皮脂欠乏性湿疹
- アトピー性皮膚炎
- 接触皮膚炎(口なめ病、おむつ皮膚炎など)
- 汗疹(あせも)
- 突発性発疹
- とびひ
- 水いぼ(伝染性軟属腫)
- その他(白癬、カンジダ症など)
この中で、出生後すぐに出てきて、乳児健診や診療で相談されることの多い湿疹としては、「乳児湿疹」が挙げられます。
乳児湿疹とは
乳児湿疹とは、赤ちゃんの顔や体の一部に見られる湿疹の総称のことで、新生児ざ瘡、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹の総称とする事が多いです。
よくある質問
乳児湿疹の多くの保護者の方からよく聞かれる質問に、
「この子はアトピーではないですか?」
という質問がありますが、
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は厳密には異なります。
しかし、アトピー性皮膚炎の初期と乳児湿疹は区別がつかないこともあります。
乳児湿疹の場合
乳児湿疹の場合には基本的には適切なスキンケアと、必要に応じて薬物療法(ステロイド軟膏など)を使用する事で、数ヶ月で改善する事が多く、6ヶ月頃にはよくなる事が多いです。
アトピー性皮膚炎の場合
一方で、アトピー性皮膚炎の場合は、スキンケアや薬物療法で改善しても、増悪を繰り返したり、かゆみが強く寝づらい方や、湿疹の分布も特徴的になってきます。
治療方針
とは言っても、実は、乳児湿疹も、アトピー性皮膚炎も、どちらであろうと、治療方針は変わらないのです。
もっとも大事なのはスキンケアです!
スキンケア
- しっかりと泡だてた石鹸で顔も体も全身しっかり手で洗って、残さず泡を流してください。
- 基本的にはガーゼやスポンジなどの使用は勧めていません。
- 洗って清潔にした後は、なるべく早めに全身の保湿をします。
- 保湿剤は処方することもできますが、市販の保湿剤で合うものがあれば、市販品で問題ありません。
適切なスキンケアをしていただくだけで、湿疹が改善するお子さんも多くいらっしゃいます。
薬物療法
スキンケアで改善しない場合には、ステロイド軟膏を中心とした薬物療法を行います。
ステロイド軟膏は使用法や使用量、頻度により効果の出方が変わりますので、処方時には丁寧にご説明いたします。
スキンケア、薬物療法の治療経過でアトピー性皮膚炎の診断となり、ダニやペット、食物などアレルギーの疑いがある場合には必要に応じてアレルギー採血をし、湿疹の原因となるものがないか調べます。
まとめ
以上のように、乳児期の湿疹は一度診察しただけでは診断がつかない場合も多く、経過を見ていくことが必要にはなります。
しかしながら、「新生児期から毎日保湿をする事で、アトピー性皮膚炎を予防することができた」という、日本の有名な研究結果もありますので、スキンケアはしっかりとして頂くよう皆さんにお伝えしております。
ご心配ございましたらご相談ください。