犬、猫のプリックテストを導入致しました
当院では以前からアレルギー検査として血液検査と皮膚のプリックテスト(小麦、乳、卵、ダニ、スギ)を行なっておりました。
この度「犬毛」「猫毛」の検査液を新規に導入致しました。
犬、猫アレルギーに対するプリックテストも当院で行えることとなりました。
ここでは「犬猫アレルギーについて」と「プリックテストについて」解説していきます。
犬猫アレルギーについて
犬猫アレルギーの原因
犬はCan f1 、猫はFel d1 というタンパク質が主なペットアレルギーの原因物質と考えられております。これらは犬猫の唾液に含まれており、毛づくろいなどで皮膚や毛に付着します。
空中に散布されることで人体に吸入され、アレルギー症状を引き起こします。
どのような症状が出るか
くしゃみ、鼻水、目の痒みなど、花粉症と同じ症状が出現します。また重度のアレルギーの場合は下痢、嘔吐や呼吸困難を引き起こす可能性もあります。
自分でできる対策
アレルギー症状を起こさないようにするために大切なことは、アレルギーの原因を遠ざけることです。しかし、すでにペットを迎えられているご家庭ではペットを手放さなければならないわけではございません。
大切なペットと飼い主が快適に暮らしていくため、様々な工夫で対策ができます。
① 清掃と換気
フケや毛などのアレルギー物質が常に空気中に浮遊しているわけではなく、時間経過と共に床やソファーに落ちます。清掃をすることで、空気中に再び舞うことを予防できます。
換気は室内空気に浮遊しているアレルギー物質を除去できます。空気清浄機は微粒子の除去に有効です。
② シャンプー、ブラッシング
シャンプーはフケの除去に効果的であると考えられております。猫は毛づくろいしますので、頻回なシャンプーは不要と考えられているようです。犬猫のシャンプーの頻度に関しては獣医師にご確認ください。
またブラッシングは抜け毛の除去に重要です。長毛と短毛でブラッシングの頻度は異なりますが、基本的には毎日のブラッシングは抜け毛予防に効果的であると考えます。
③ 寝具を分ける
寝具へのフケや抜け毛の付着を予防できます。結果的にシーツや布団を持ち上げた時の発塵によって浮遊するアレルギー物質が減ります。
④ 猫アレルギー用のフード
猫アレルギーの主な原因であるFel d1を低減させるキャットフードが販売しております。ただしフードは猫の年齢や体質で相性もあるため、導入には充分にご検討ください。
プリックテストについて
血液検査と何が違うのか?
違いは主に「項目の種類」「経済性」「迅速性」「再現性」「内服の影響」の5つです。
① 項目の種類
血液検査は一回の採血で39項目のアレルギーの抗体を調べられるため、スクリーニングできます。プリックはその点、アレルギーとして疑わしい項目を検査するため、スクリーニングの目的としては血液検査の方が望ましいでしょう。
しかしプリックテストは、血液検査で調べられない食物や薬剤、日用品、化粧品などのアレルギー反応を調べることが可能です。
② 経済性
検査の項目数などにもよりますが、検査費用は基本的に血液検査の方が高くなります。
③ 迅速性
血液検査は結果の判明に1週間ほどかかります。プリックテストは15〜20分ほどで結果が判明するため、その日のうちに結果をお伝えすることが可能です。
④ 再現性
血液検査の方が検査の再現性が高いとされております。プリックテストは皮膚の状態や検査手技などで結果が左右されやすいと考えられております。
⑤ 内服の影響
血液検査は抗アレルギー薬の影響を受けにくいです。プリックテストは内服によりアレルギー反応が出なくなり、検査が偽陰性になってしまう可能性があります。そのため検査の72時間前から抗アレルギー薬の休薬して頂きます。
血液検査との併用は意味があるのか?
検査試薬の違いはありますが、海外の報告ではダニ、犬、猫の血液検査とプリックテストは強い相関が見られたとの報告があります1。
上の表にも記載のあるよう、感度と特異度はプリックテスト>血液検査となっております。そのため、血液検査が陰性であっても、プリックテストで陽性になる場合も存在します。
2つの検査でより診断の信頼性が増すため、気になる方は医師へご相談ください。
当院では血液検査、皮膚プリックテスト(小麦、乳、卵、ダニ、スギ、犬毛、猫毛)のどちらも行なっております。アレルギーの症状や検査を含め、お気軽にご相談ください。
1)Nualanong Visitsunthorn, Comparison between specific IgE levels and skin prick test results of local and imported American cockroach, dog, cat, dust mites and mold allergen extracts, Asian Pac J Allergy Immunol, 2017;35:60-65